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ビジネスストーリー

第1話 世の中にないものを作る!(試行錯誤を繰り返し、最後は原点に戻る)

オープンクリーンシステム「KOACH(コーチ)」の開発

1.クリーン分野に向けた新しい可能性



  大学院で理論物理学を研究していた久保田は、飯能研究所の勤務になってから独自機構を基にしたプッシュフードの研究開発に取り組んだ。
  プッシュプル型換気装置に用いるプッシュ気流は、風速、風向が一定の同一ベクトルの集合流、いわゆる“一様流”である。当社の独自技術であるこの“一様流”を用いることによって、作業環境改善の効果を高めていた。ある日、会長の酒井は次のようなことを言った。「拡散せずに有害物を搬送除去することができるプッシュプル気流であれば、HEPAフィルタなどでろ過した清浄空気をプッシュ気流に用いることによって、プッシュプル気流内をクリーンルームのように清浄に保てるのではないか。そうすれば、開放式のクリーンルームのようなものができるのではないか。」
  このテーマは飯能研究所長木村を通じて久保田のところにも来たが、クリーンルームの分野は未知であったので、その時点ではまだ何をどうやっていのか全く分からなかった。
  従来の作業環境改善が“作業者を守る”のに対して、クリーン分野は主に“製品を守る” という大きな違いがある。だが、クリーン、ヘルス、セーフティが当社の業務テーマであり、そのうちのクリーン関連の製品開発ができれば、興研の事業が大きく変わるのではないかという漠然とした予感があった。

2.プッシュプル気流でのチャレンジ



  まず取っ掛かりとして、従来のプッシュプル型換気装置にHEPAフィルタを通したクリーンエアを用いたらどうなるかを調べてみることにした。そこでHEPAフィルタを付けた試験用プッシュフードを作ってプッシュプル型換気装置として稼働させ、プッシュプル気流内の粒子数をパーティクルカウンタで実際に測定した。プッシュフードの開口面では粒子がほとんどカウントされなかったので期待が持てた。しかし、開口面から離れるプッシュ気流が粒子を誘引し粒子数は瞬く間に上がり始めた。そこでプッシュ気流の風速を上げたり下げたり、プッシュプル流量比を上げたり下げたりしたが、粒子数の減少は製品化に期待を持つにはほど遠いものであった。
  次にプッシュ気流のみで清浄空間を形成することを試みた。
  しかしその結果は、中心部でも開口面から50〜60cm離れると粒子がカウントし始める状況であった。清浄空間があまりにも狭い。そうした結果に対し、久保田は目の前が真っ暗になり、これ以上どうすればよいのか全く分からなくなった。


3.プッシュ気流の工夫

  その後は、とにかくプッシュ気流の吹き出し形状をいろいろなパターンで試してみた。「エアカーテンのような吹き出し気流を開口面の縁から吹き出す」「中央付近を速く、周囲に行くほど風速が遅くなるような分布を持たせる」「開口面の縁付近の風向を中心または外側に向ける」その他にもいろいろ試してみたが、いずれも結果が良くなる気配すらなかった。
  時間だけが過ぎた。もはや良い結果が出そうなアイデアはやり尽くしたと思われた。
  しかし、久保田は考えることだけは止めなかった。

4.プッシュプッシュの誕生


  そんなある日、プッシュプル型換気装置について改めて捉えると、構造上どうしても2面は必要であることに気付いた。であるならいっそうのこと、その両面から吹き出すプッシュプッシュ型(対向型)を試してみようと考えた。これなら構造もあまり変わらない。だが、それぞれのフードからの吹き出し気流を単独で測定した際には、外部からの粒子の侵入が見られたため、2面のフードの中央付近では粒子をカウントしてしまうと予想していた。
  あまり期待もせず、パーティクルカウンタのサンプリングチューブを中央に設置してスタートボタンを押した。「おや? パーティクルカウンタの数値が上がらないぞ。」もう一度、やり直してみた。やはり数値は上がらない。測定位置を変えてみたが、かなり気流の縁までいかなければ粒子はカウントされなかった。
  粒子は目で見えないため、どのようなことが起きているのかすぐに理解できなかった。煙を用いて気流の可視化をし流れを観察してみると、開口面の中心から出た煙はほぼ中央で衝突し、垂直断面の放射方向にきれいに広がっていた。それはあたかも、そこに壁があるような感じであった。発煙位置を開口面の中心から縁方向に変えてみると、気流はすぐに外側に向かって流れていることが確認できた。なるほど、これで粒子の侵入が防げているのであった。
  一様流にこだわらずに開口面風速分布をいろいろ変えてみたが、結局は、一様流に戻ってきたのであった。




5.「KOACH(コーチ)」の誕生へ

  2006年7月、社内の研究発表会で、「オープンクリーンベンチの研究開発」と題して研究結果を発表した。
  この研究発表会で、プッシュプル型のクリーン化技術が認められたが、これからまた苦労の連続となる。会長の指示によりすぐさま製品化に取り掛かることとなったものの、担当の環境エンジニアリングディビジョンには当時はまだ技術開発セクションがなかったため、デザインや設計などにおいて課題が山積していたのである。
  しかし、何とか“試作1号機”を作り上げた。
  やがて2008年12月のセミコンジャパンに初出展したのを皮切りに、その翌年以降、数多くの展示会に「KOACH」を出展していくことになる。
  その後「KOACH」は、当社独自に開発したナノファイバー製エアフィルタ「FERENA(フェリナ)」による世界最高水準のスーパークリーン化機能を搭載し、さらに直角合流技術の開発、積み木方式やガイドスクリーンの採用によるクリーン空間の拡張に成功するなど大きな進化を遂げた。

  現在「KOACH」は、テーブル型、スタンド型、ルーム型の豊富な製品群によって、最先端の研究所や製造現場、医療施設など様々な場所や使い方に対応できるシステムとして認知、導入が進んでいる。



 

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