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ビジネスストーリー

第2話 常識を打ち破れ!(奇抜なアイデアを商品化)

「ブレスリンク(呼吸追随形ブロワーマスク)の開発」

 平成12年(2000年)11月、電子回路の勉強会に開発部から特需ディビジョンに異動したばかりの栗山智が小さな試作品を取り出した。それは「ブロワーマスク」と呼ばれるもので、ブロワーを使いマスク内にフィルターを通し新鮮な空気を強制的に送るものだった。

 栗山は開発部時代、低電力の無線機で画像を送るアイディアを出し、とある無線機メーカーと共同で製品化を果たそうとしていた。しかも、それを防爆仕様(注1)でやろうとしていた。栗山はアイディアを出し、作ることは得意だが、どちらかといえば理論武装は苦手なタイプ。この製品は2年近くの歳月を費やし、防爆の方はクリア、画像を送るところまではどうにか漕ぎ着けた。しかし、画像の転送速度が遅く現場ではイライラが募り、早くすると今度は粗くなり実用に値しない…。結局その開発はお蔵入りとなった。

 栗山はその直後、また新しいアイディアを提案した。この時点ではまったく手作りのバラックセットだったが、見事に呼吸に同期し、ブロワーが回っている。


▲ブレスリンクブロワーマスクBL-100S

▲ブレスリンクブロワーマスクBL-700HA

 次の研究発表会の昼食時、15人ほどが緊急召集された。この場で社長の酒井眞一郎(現在は会長)は「ブレスリンク(ブロワーマスクの製品名)を平成14年(2002年)3月までに商品化する!」と宣言する。急きょ、プロジェクトチームが結成された。中核となるセンサー及び制御回路にはもちろん、栗山が担当することになった。

 開発は過去にないスピードで進められた。呼吸にブロワーを追随させると、 呼吸は吸う時も吐く時もほとんど抵抗なく行うことができる。マスク内はわずかのプラス圧を保持。余分な送風もカット、フィルターの目詰まりも防ぐことができ、電池の消耗も控えめなため小さく軽いタイプですむ。

 しかし、ひとつ問題があった。JIS規格から、はずれてしまうのだ。規格のような大きな呼吸に合わせてブレスリンクを作ると実際の呼吸時にはセンサーが鋭敏に作動せず、JIS規格呼吸時には制御不能に陥ってしまう。現実、制御不能では役に立たないので、感度は実用域に合わせ、やむを得ない手段としてスイッチの切り換えで一定風量の強い送風も可能とした。

 興研では良いものはできるが、まだ規格自体を変える力はない。しかし、世界初の製品を作ることは世界中に向かって、本当の規格を問うことにもつながることをこの経験で学び、技術者が英語で自己主張していく必要性を知った…。

 ブレスリンクは防じん・防毒マスクの「苦しい」という常識をくつがえす可能性を秘めている。技術向上は当然のこと。これからは世間に認めてもらう努力も興研は続けていかなければならない。(その後電動ファン付き呼吸用保護具は国家検定化された)

 

※財界研究所「ひとマネでない経営」より抜粋

>>第1話 「世の中にないものを作る!」へ

[マスクの一般常識]

 防じんマスクの通気は人の肺の力で行うのが一般的とされる。このマスクの性能はフィルター、顔とのフィット、呼吸のし易さ等によって評価されるが、人によって呼吸も顔の形状も異なるため、その評価には個人差が生じる。吸った時にフィルターに抵抗があると息苦しいばかりか、顔とのフィット感も損なわれ、漏れも大きくなる。さらにフィルターが目詰まりすると、ますます息苦しくなる…。

[本質防爆・防爆製品とは](注1)

 あらゆる可能性の中で製品が絶対に爆発しないという論理を立て、その論理を証明する実験データを提出。さらに検定機関の試験をクリアしなければならない。

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