■マスクに関すること
●今まで使用していたマスクは、今後も使用できますか?

使用中のマスクの指定防護係数が要求防護係数を上回る場合は、継続して使用が可能です。確認の結果、要求防護係数を上回らない場合は、換気装置の増強等で溶接ヒューム濃度を低減し、要求防護係数を指定防護係数未満の値にすることができれば従来通り使用が可能です。まず、溶接ヒューム濃度の測定により要求防護係数を確認する必要があります。

●溶接ヒューム濃度測定の結果、マンガンの含有濃度がばく露の基準値(0.05mg/㎥)以下の場合でもマスクは必要でしょうか?必要な場合、どのような性能のマスクを選べばよいでしょうか?

マスクの使用義務があります。マンガンの含有濃度0.05mg/㎥以下の場合、要求防護係数は1以下となりますが、その場合も、要求防護係数を上回る指定防護係数のマスクを選択する必要があります。さらに、金属アーク溶接作業は、「防じんマスクの選択、使用等について」に基づき、性能がDS1、DL1、RS1、RL1の防じんマスクは選択できません。このことから、粒子捕集効率95.0%以上のマスクを選定することが必要となります。

※本件については、「特定化学物質障害予防規則における第2類物質「溶接ヒューム」に係る関係省令等の解釈等について(令和3年1月15日基安化発0115第1号)」を参考に回答を作成しています。

■フィットテストに関すること
●フィットテストを行った結果、要求フィットファクタを上回らない場合はどうすればよいですか?

マスクを適切に装着し直すなどして再測定を行います。その上で要求フィットファクタを上回らない場合は、買い替えも含めてマスクの選定をやり直す必要があります。

●フィットテストによる確認は、誰が行ってもよいでしょうか?

労働安全衛生法上、フィットテスト実施者の制限はありませんが、フィットファクタの精度等を確保するため、十分な知識及び経験を有する者が望ましく、例えば保護具着用管理責任者が考えられます

※本件については、厚生労働省「改正特定化学物質予防規則に関するQ&A」を引用して回答を作成しています。

■その他
●金属アーク溶接等作業とは、具体的にどのような作業がありますか?

アークを熱源とする溶接、溶断又はガウジングがすべて含まれ、TIG溶接や炭酸ガスアーク溶接(MIG,MAG等)、プラズマアーク溶接も対象となります。一方、燃焼ガス、レーザービーム等を熱源とする溶接、溶断又はガウジングは対象ではありません。

●「金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場」とは、具体的にどのような頻度で溶接作業をしている場合か教えてください。

屋内において特定の場所で繰り返し行っている場合、頻度に関係なく、たとえ年に数回であっても、その場所で溶接作業が行われるのであれば「継続して行う屋内作業場」に該当します。

●溶接ヒューム濃度測定は、自社で測定することも可能でしょうか?

可能です。溶接ヒューム濃度測定の実施者は特段定めていませんが、適切な測定を確保する観点から、日本作業環境測定協会の実施する個人サンプリング講習を修了した者も含め、第一種作業環境測定士等、作業環境測定機関等、当該測定について十分な知識及び経験を有する者による実施が望まれます。

●溶接ヒューム濃度測定を依頼したい場合は、どこに相談すればよいでしょうか?

作業環境測定機関に依頼が可能です。日本作業環境測定協会のホームページから検索が可能です。

※本件については、厚生労働省「改正特定化学物質予防規則に関するQ&A」を参考、引用して回答を作成しています。