■マスクに関すること

●今まで使用していたマスクは、今後も使用できますか?

使用中のマスクの指定防護係数が要求防護係数を上回る場合は継続して使用が可能です。確認の結果、要求防護係数を上回らない場合は、換気装置の増強などの措置をとり対象物質のばく露濃度を低減し、要求防護係数を指定防護係数未満の値にすることができれば従来通り使用が可能です。まず個人サンプリング測定等の結果によりばく露濃度を把握し、要求防護係数を確認しましょう。

●要求防護係数を算定する場合に、有害物質のばく露限界濃度として使用する「濃度基準値」はどう確認すればよいでしょうか?

労働安全衛生規則第577条の22項の規定に基づき厚生労働大臣が定める物として67物質20238月末現在)に対し、濃度基準値が定められています。対象となる物質とその値は以下をご確認ください。

▶労働安全衛生規則第577条の2第2項に基づき厚生労働大臣が定める物及び厚生労働大臣が定める濃度の基準 別表(令和5年4月27日厚生労働省告示第177号)

要求防護係数を算定する場合に、有害物質のばく露限界濃度として使用する「管理濃度」はどう確認すればよいでしょうか?

労働安全衛生法に基づく作業環境評価基準で定められています。対象となる物質とその値は以下をご確認ください。

▶作業環境評価基準 別表


■フィットテストに関すること

●フィットテストを行った結果、要求フィットファクタを上回らない(フィットテスト不合格となった)場合はどうすればよいですか?

マスクを適切に装着し直すなどして再測定を行います。その上で要求フィットファクタを上回らない場合は、別のマスクを検討することも含めてマスクの選択をやり直す必要があります。会員サイト「興研CHS CLUB」では、定量的フィットテストのよくある不合格事例とその改善方法をご紹介しています。 興研CHS CLUBへのアクセスはこちら

●フィットテストによる確認は、誰が行ってもよいでしょうか?

労働安全衛生法上、フィットテスト実施者の制限はありませんが、フィットファクタの精度等を確保するため、十分な知識及び経験を有する者が望ましく、例えば保護具着用管理責任者が考えられます

■保護具着用管理責任者に関すること

●保護具着用管理責任者はすべての事業場で選任する必要がありますか?

保護具着用管理責任者は、

・リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う事業場であって、リスクアセスメントの結果に基づく措置として労働者に保護具を使用させる場合

・特化則や有機則等の特別則における、第三管理区分作業場について、作業環境の改善が困難と判断された等の場合

には、選任が必要です。 保護具着用管理責任者は、業種や規模にかかわらず、上記に該当する全ての事業場で選任しなければならないものであり、適切に職務が行える範囲で選任・配置する必要があります。


保護具着用管理責任者は化学物質管理者等との兼務は可能ですか?

保護具着用管理責任者は、適切に職務が行える範囲であれば、化学物質管理者や作業主任者等と兼務することは差し支えありません。また、適切に職務が行える範囲で、それぞれの作業場所等で複数の保護具着用管理責任者を選任・配置することも差し支えありません。 ただし、特化則や有機則等の特別規則における第三管理区分作業場において、作業環境の改善が困難と判断された場合等の措置として保護具着用管理責任者を選任する場合は、作業主任者が保護具着用管理責任者と兼務することはできません。※

 
●化学物質管理者や保護具着用管理責任者の選任について、労働基準監督署への届出が必要ですか?

化学物質管理者や保護具着用管理責任者の選任にあたり、労働基準監督署への届出は不要です。ただし、選任した時には氏名の掲示や腕章、イントラネット等によって関係する労働者に周知することが必要です。

※厚労省「化学物質による労働災害防止のための新たな規制に関するQ&A」を引用


■その他

●濃度基準値設定物質に関しては、濃度基準値以下とすることが義務化されるが、屋外作業場も同様の対応が求められますか?


濃度基準値設定物質を濃度基準値以下とする義務は、屋内作業場を対象としているため、屋外作業場は対象外となります。ただし、屋外作業場であってもリスクアセスメントを実施し、ばく露を最小限とすることが必要となります。

※厚生労働省「化学物質による労働災害防止のための新たな規制に関するQ&A」引用